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神秘学を科学する 第5部

Scientific Mysticism Part 5

ウィリアム・ハンド

By William Hand

 連載第5部の今回は、意識という非常に難しい話題に取り掛かることにしましょう。意識とはいったい何なのでしょうか? 意識にはどんな種類があるのでしょうか? 異なる種類の意識には、お互いに結びつきがあるのでしょうか? そして、あらゆる現実世界の背後にある最も基本的な力は、意識だけであると述べる科学者がいるのはなぜなのでしょうか?

 意識というテーマは、今日の科学にとって、極めて理解しがたい謎のひとつであることに疑う余地はありません。しかし、今世紀中には、意識に関する科学が確立するだろうというのが私の意見です。この記事を読んでいるみなさんの誰しもが、意識を持っています。そして、意識はまさに現実に存在するように感じられますし、私たち自身の一部なのですが、実際には、意識とは何であるかを正確に説明することができる人は、まだ誰もいません。この記事では、意識というテーマを、神秘学的な見方と科学的な見方の両方から、探っていきたいと思います。この問題に論理的に取り組み、私たちがどこに導かれていくかを見ていくことにしましょう。この取り組みを行うことで、思考の新しい道筋が開かれ、いつの日か、意識について今よりもうまく説明できるようになることを私は願っています。

第1章 意識とは何でしょうか?

What is consciousness?

 これは究極の疑問ですが、意識に以下のような性質があるということは、ほとんどの人に同意していただけることでしょう。

まず第一に、意識は知覚と関連しています。つまり、あなたが何かを意識しているときには、あなたはその存在や状態を知覚しています。逆に、何かを知覚しているときには、それを意識しています。「知覚」という言葉が意味することについては、後ほど述べることにします。

 第二に、少なくとも人間の場合は、意識は思考の一部分と関連があります。何かを知覚したときには、それを知覚していることを私たちは自覚しています。つまり、知っています。私たちは知覚したものごとについて考え、何らかの行動をするか、あるいは行動しない場合でも、少なくともそれについて考え、行動をしないという決断をしています。

 第三に、意識はほとんどの状況で、生命と関連があります。つまり、意識と生命は密接に結びついています。あなたが何かを意識しているときは、あなたは生きているのです。

 しかし、この時点ですでに、意識をどう定義するかという問題が生じています。たとえば、あなたに意識がないのであれば、あなたが生きていることはありえないのでしょうか? 「意識がある」と「意識がない」という言葉の日常的な意味で考えれば、その答えはもちろん「いいえ」であり、単に気を失っている場合など生きていることもあります。しかし、生きている状態では、下意識(これも意識の一種です)も同様に活動しており、そして、脳や他の器官もお互いを知覚しており、これらも意識であると定義するならば、意識がないことは、生きていないことを意味することになります。

 ですから、この記事の中で使われる意識という言葉の意味には、存在するあらゆる種類の意識を含めることにします。そこで、分りやすくするために〈意識〉という表記を使うことにしましょう。したがってこれから先は、〈意識〉という言葉を使ったときは、一般的に受け入れられているあらゆる種類の意識を含むことにします。

 ではもう一歩進んで、〈意識〉を2つのタイプに分けて考えてみることにしましょう。2つのタイプとは、「能動的な意識」(Active Consciousness)と「受動的な意識」(Passive Consciousness)です。バラ十字会員の読者のみなさんは、この2つの意識について、これまでよりもっと深い意味を理解することになります。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。