バラ十字会

非宗教・非営利団体であるバラ十字会は、
全世界の87ヵ国に拠点を有し、
23ヵ国語で通信講座の教材をご提供しています。
日本本部公式サイト

神秘学を科学する 第3部

Scientific Mysticism Part 3

ウィリアム・ハンド

By William Hand

第2章 ひも理論

String Theory

 ひも理論の基礎となる考え方は、1970年に生まれましたが、1984年になってはじめて、物理学の主流として受け入れられました。受け入れられた主な理由は、量子物理学、素粒子論、重力理論を全体的に統一した「すべてのものを説明するひとつの理論」(万物理論)にまとめるという、心躍らせるような可能性を提供したことでした。その可能性は確かにあるのですが、まだ実現されてはいません。しかし、複雑で難解なこの数学理論は、素粒子の世界と、それよりもさらに小さい世界を探究するための強力な手段を私たちに提供してくれます。そして、この点について、これから議論していきたいと思います。

 ひも理論の基本的な考え方は、存在するすべてのものが、一次元の「もの」の振動と、その相互作用のために生じるということです。これらの「もの」は「ひも」と呼ばれます。そして「ひも」は理論的に、両端が何にもつながっていない「ひも」か、または閉じた輪です。裁縫(さい ほう)に使う木綿の糸を思い浮かべていただければ、良いたとえになっています。しかし、「ひも」と呼ばれるのは、一次元であるためです。つまり、この「ひも」には太さというものがなく、単に長さがあるだけです。私たちは三次元の世界に生きているので、一次元である「ひも」を思い浮かべるのは、確かに極めて難しいことです。もう一つ指摘しておくべき要点があります。「ひも」は分割することができず、それより小さいものはないということです。すなわち、それは線の小さな端のようなものであると言えます。

 したがって、あなたは小さく小さく縮んでいくだけでは、無限に小さいこの領域に達することはできません。ひも理論によれば、縮んでいくある段階で、あなたが一次元の世界の単なる振動になるということが起こるのです! ひも理論は、あらゆる振動数で振動している「ひも」によって生じるエネルギーのおかげで、すべてのものが存在していると説明します。振動の最も単純な組み合わせによって、電子とクォーク粒子が生じます。また、より複雑な振動によって、私たちの思考のパターンと感情が生じます。物理学者の中には、音楽にたとえて、存在するすべてのものは、本質的には、まさに振動であり「仲良く歌っている」(singing in harmony)と説明する人もいます。何世紀も続いている神秘学思想との、何という素晴らしい意見の一致でしょうか!

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。