バラ十字会

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神秘学を科学する 第6部

Scientific Mysticism Part 6

ウィリアム・ハンド

By William Hand

第3章 根源的生命力の二重の性質

The Duality of VLF

 私たちは先ほど、「根源的生命力」とは、「ひも」を振動させている力であるとしました。「根源的生命力」はまた、私たちの体を一体にまとめ上げている力であり、それは極性の原理や、電磁気力などのような物理的な力の作用を通してなされています。科学者が発見した電磁気力や強い核力、弱い核力は、「根源的生命力」が物質的に表れたものであると言うことができます。また重力も「根源的生命力」に含めるとすれば、「根源的生命力」は科学者が真剣に研究している大統一理論、あるいは「すべてのものを説明するひとつの理論」(万物理論)を解く鍵を握っているのかもしれません。生命力という話題は、科学界では激しい議論を巻き起こすテーマですが、神秘哲学の考え方にはよく当てはまるものです。特に二元性の法則(自然界に存在するあらゆるものが2つの性質を示すこと)にはよく適合しています。

 ここで申し上げたいのは、「根源的生命力」は、表現されるときに2つの性質を示すということです。つまり、物質的な表われ方と、非物質的な表われ方の2通りがあるのです。物質的な表われとは、科学者が発見した電磁力、強い核力、弱い核力、(そしておそらく重力)のことです。その反対である非物質的な表現とは、ひも理論で言う“目に見えない”(hidden)次元で働いている力であると言えるでしょう。

 第3部でひも理論を取り上げたときに、この理論が働くためには、私たちが普段経験している三次元の空間と一次元の時間の他に、別の次元が存在しなければならないということをご説明しました。私たちの宇宙では時空には少なくとも11の次元があるという合意が、現時点で科学者の間にできつつあります。そのうちの7つの次元は“目に見えない”次元です。そして、目に見えない次元のうちの6つの次元は、非常に小さくて互いに巻き付いており、その次元の大きさは、1個の光子の大きさよりもはるかに小さいと考えられています。しかし、これらの次元は私たちが普段感じている時空と相互作用をしています。そして、目に見えない次元で起こっている相互作用と振動は、私たちが感じることのできる次元にも表れています。11の全ての次元で振動しているのは同一の「ひも」だからです。つまり、ひもの振動は、少なくとも11の次元で作動している一つのシステムであると考えることができます。「根源的生命力」の本質は、神秘学派において何世紀も前からずっと謎とされてきました。しかし、今述べた2重性を受け入れることができるなら、その神秘のベールは取り去られることになるでしょう!

 したがって、意識と意識のレベルは、本質的には根源的生命力が表現されたもの、つまり根源的生命力の特性であると考えることができます。「根源的生命力」が強ければ強いほど、意識の能力のレベルは高くなります。ここで、前回の第5部を思い出してください。そこで私たちは、一般的に受け入れられているあらゆる種類の意識を〈意識〉と表記することにしました。〈意識〉とは力です。すなわち、あらゆる現実世界の背後にある最も基本的な力です。この最も基本的で創造的な力は、バラ十字会の哲学ではヌース(Nous)と呼ばれています。「根源的生命力」の強さから生じる〈ソウル〉(Soul)の力は、ヌースの非物質的な側面であり、ヌースの物質的な側面はスピリットと呼ばれます。この〈ソウル〉の力の詳細については、第7部で扱うことにします。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。