バラ十字会

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神秘学を科学する 第5部

Scientific Mysticism Part 5

ウィリアム・ハンド

By William Hand

第2章 「能動的な意識」と「受動的な意識」

Active and Passive Consciousness

 意識には、さまざまな定義があります。たとえば19世紀の作家、リチャード・モーリス・バック(参考文献をご参照ください)は、「単純意識」、「自己意識」、「宇宙意識」という意識の3つの種類について述べています。彼は、「単純意識」を、植物や一部の動物のような生物にある意識であると定義しています。これは、本能的な知覚、あるいは反応によって起きる知覚のようなものです。たとえば、植物は太陽の光に対して反応を示しますが、植物が太陽光を知覚する、つまり、太陽光に感知する性質は、単純意識の表れであると言うことができます。

 単純意識の上位の意識として、人間やおそらく動物の一部には「自己意識」があることが認められるとバックは説明しています。私たちは周囲のものごとを知覚するだけではなく、それらを知覚していることを自覚していて、自分が生きていて、意志の力を働かせることができるということも自覚しています。そして、最も上位にある意識が「宇宙意識」です。これは自己を意識することだけでなく、万物の全体の中における自分の役割を完全に知覚することや、万物の全体そのものを知覚することも含んでいます。リチャード・モーリス・バックの、今ご説明した意識の定義は長い間使われてきましたが、〈意識〉というものが本当は何であるのかを理解したいと考えるなら、この定義では限界があります。そこで、バックの定義による意識や、一般的に知られている意識の他の種類が、「能動的な意識」と「受動的な意識」のどちらにそれぞれ当てはまるのかを考えてみましょう。

 「受動的な意識」とは、実際に何かを知覚する意識であり、知覚の際には複雑なシステムが働いていますが、それ以外の働きはありません。たとえば、植物の細胞は太陽光にどのように対応するかを知っていて、光合成のプロセスを行います。また、人間の下意識は、身体の各器官が適切に機能するように調整し、ウイルスの攻撃といった緊急事態に対応しています。さらに、生命体としての地球や大地の意識も、「受動的な意識」のひとつの例であり、バランスを保つために機能しています。そして、現代の“知的な”コンピューターシステムは、あらかじめ定義されたアルゴリズム(処理や演算の手順を定めたもの)に情報をインプットすることにより、結論を導くことができます。

 一方、「能動的な意識」とは、原因となることができるプロセスです。つまり、「能動的な意識」とは、何かを創り出すことができる意識です。神秘学の立場では、「受動的な意識」は陰極性であり、有限であるという特徴を持っていますが、「能動的な意識」は、陽極性であり、限界を持たないという特徴があります。陽極性であり、限界を持たないということは、私たちが〈意識〉と呼ぶものの性質です。では次に、この2つの意識について、もう少し詳しく調べて、いったいそこでは何が行われているのかを見ていくことにしましょう。

能動的な意識
受動的な意識
自己意識 単純意識
集団意識
下意識
宇宙意識 物質・大地の意識
現代の“知性を持つ”
コンピューター

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。